第壱話:春の野に 若菜つまむと 來(こ)しものを 散りかふ花に 道はまどひぬ
第弐話:天の原 ふみとどろかし なる神も 思ふ中をば さくる物かは
第三話:人を思ふ 心は我に あらねばや 身のまどふだに 知られざるらむ
第四話:しひて行く 人をとどめむ 桜花 いづれを道と 惑ふまで散れ
第五話:桜色に 衣は深く 染めて著む 花の散りなむ 後のかたみに
第六話:蓮葉の にこりにしまぬ 心もて なにかは露を たまとあさむく
第七話:さくら花 ちりぬる風の なごりには 水なき空に 波ぞたちける
第八話:わがやどの 花ふみしだく とりうたん 野はなければや ここにしもくる
第九話:命はや 何ぞは露の あだものを あふにしかへば 惜しからなくに
第拾話:春ごとに 花のさかりは ありなめど あひ見むことは 命なりけり
第拾壹話:かきくらす 心の暗に 惑ひにき 夢うつつとは 世人さだめよ
第拾二話:風のうへに ありかさだめぬ ちりの身は ゆくへもしらず なりぬべらなり
第拾三話:かぎりなき 君がためにと 祈る花は 時しもわかぬ ものにぞありける
第拾四話:よるべなみ 身をこそ遠く へだてつれ 心は君が 影となりにき
第拾五話:うれしきを 何につつまむ 唐衣 袂ゆたかに たてと言はましを
第拾六話:深草の 野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染に咲け
第拾七話:夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ
第拾八話:春霞 たなびく山の さくら花 見れどもあかぬ 君にもあるかな
第拾九話:山たかみ 下ゆく水の 下にのみ 流れて戀ひむ 戀は死ぬとも
第弐十話:大空を 照りゆく月し 清ければ 雲隠せども 光けなくに
第弐十壹話:宵のまも はかなく見ゆる 夏蟲に 惑ひまされる 戀もするかな
第弐十二話:身を舍てて 行きやしにけむ 思ふより 外なるものは 心なりけり
第弐十三話:戀せしと みたらし川に せしみそき 神はうけすも なりにけらしも
第弐十四話:戀ひしきに 命をかふる ものならば しにはやすくそ あるへかりける
第弐十五話:いのちだに 心にかなふ 物ならば なにか別れの かなしからまし
第弐十六話:わが戀は ゆくへも知らず はてもなし あふを限りと 思ふばかりぞ
1 春日郊野
來摘嫩草之人
落櫻繽紛,不知前路
2 望寥廓
聽驚雷 天音貫耳
縱天雷難阻斷
念彼此 厚誼永存
3 思君戀君 心向君
忘我隨去
奈何身不隨心
空任孤心對流雲
4 櫻花徒散盡 不見君歸路
君離意已決 相送空折柳
5 櫻花雅色
著我青衣
落花飄零
永留後世
6 蓮葉素心真
汙泥不染塵
露珠作白玉
何故也欺人
7 櫻之花瓣
隨風飄散
空卷碎浪
永駐我心
8 怒叱趕雀鳥
庭花皆踏散
野外無芳蹤
方至我家來
9 天命如露滴
如幻更似虛
相逢若相知
逝亦不足惜
10 春至花開日 花開盛極時
明年能見否 天命有誰知
11 此心終夜暗 迷惑不知情
是夢還非夢 人間有定評
12 風吹居無所 吾身如塵土
前途兩茫茫 不知何處去
13 庭院點點紅 無盡為君折
誰道次花兒 春綻冬不雕
14 欲寄無從寄 只身隔遠方
此心飛作影 日日在君旁
15 朗朗賦笑顏 何將欣說函
如應裁雲袖 攜來嘉日遠
16 深草野邊櫻 今年應有情
花開都黑色 喪服墨磨成
17 夏夜尚深秋 天明早已經
雲間何處隱 曉月已無形
18 開合若春霞 山櫻開似玉
見花如見君 難久不知足
19 流水高山出 壹心往下流
寸衷存戀意 也自永悠悠
20 明月當空照 清河似白玉
雲深難遮掩 尤可見銀光
21 不見飛蛾事 徒然夜撲燈
此身迷惑甚 戀意枉加憎
22 魂似已離體 遠去莫能助
所言非所思 言也離遠意
23 從今無所戀 禦手洗川來
川水將身滌 神靈允諾哉
24 哀腸系思念 何畏難波前
若使情相易 生死族笑開
25 迷生如得放 隨心任消長
縱使話離別 幸自免神傷
26 送君去
情思莫問情歸去 情歸去
相逢足慰
不求朝暮
*************************************************************另壹版本:
第壹話 汝乃龍神之神子
「古今和歌集·卷二·春歌下·紀貫之·寬平帝時後宮歌會時作」
春の野に若菜つまむと こしものを 散りかふ花に道は惑ひぬ
春日郊野,來摘嫩草之人,落櫻繽紛,不知前路。
仕女來春野,采芹有所思,落花飛滿地,道路已迷離。
第二話 為鬼所迷惑之人
「古今和歌集·卷十四·戀歌四·佚名·無題」
天の原ふみとどろかし なる神も 思ふなかをばさくるものかは
望寥廓,聽驚雷,天音貫耳,縱天雷難阻斷,念彼此,厚誼永存。
雷神天上怒,踏破是穹蒼,思戀精誠固,神無劈裂方。
第三話 陰陽師
「古今和歌集·卷十壹·戀歌壹·佚名·無題」
人を思ふ心は我に あらねばや 身の惑ふだに知られざるらむ
思君戀君,心向君,忘我隨雲,奈何身不隨心,空任孤心對流雲。
思念註伊人,心已離我身,癡狂迷惑相,竟自不知津。
第四話 花鎮
「古今和歌集·卷八·離別歌·佚名·無題」
しひて行く 人をとどめむ 桜花 いづれを道と惑ふまで散れ
櫻花徒散盡,不見君歸路,君離意已決,相送空折柳。
君是強行人,櫻花留得住,落花速速飛,處處迷歸路。
第五話 露水的居所
「古今和歌集·卷壹·春歌上·紀有友·無題」
桜色に 衣は深く 染めて著む 花の散りなむのちの形見に
櫻花雅色,著我青衣,落花飄零,永留後世。
深染櫻花色,花衣引舊思,雖然花落後,猶似盛開時。
第六話 治部少丞與內裏之鬼
「古今和歌集·卷三·夏歌·僧正遍昭·見蓮葉露珠」
はちす葉のにごりにしまぬ 心もて 何かは露を珠とあざむく
嘆蓮葉,出淤泥而不染,心澄似水,葉露如玉。
蓮葉素心真,汙泥不染塵,露珠作白玉,何故也欺人。
第七話 鵼哭泣之夜
「古今和歌集·卷二·春歌下·紀貫之·亭子院歌會時作」
桜花散りぬる風の なごりには 水なき空に浪ぞたちける
櫻之花瓣,隨風飄散,空卷碎浪,永駐我心。
風起櫻花散,余風尚逞威,空中無水住,偏有浪花飛。
第八話 憎恨鬼的火焰
「古今和歌集·卷十·物名·紀友則·龍膽花」
我が宿の花ふみしだく とりうたむ 野はなければやここにしもくる
怒叱趕雀鳥,庭花皆踏散,野外無芳蹤,方至我家來。
有鳥來投宿,踏傷龍膽花,彈之何太酷,來此緣無家。
第九話 魅惑之音 八弦琴 前篇
「古今和歌集·卷十二·戀歌二·紀友則·無題」
命やはなにぞは露の あだものを あふにしかへば惜しからなくに
天命如露滴,如幻更似虛,相逢若相知,逝亦不足惜。
生命空朝露,何如戀愛奇,相逢如可換,壹死又何辭。
第十話 水之波紋 八弦琴 後篇
「古今和歌集·卷二·春歌下·佚名·無題」
春ごとに花のさかりは ありなめど あひ見むことは命なりけり
年復歲,百花爭艷春光媚,明年和春往否,惟有天能道。
春至花開日,花開盛極時,明年能見否,天命有誰知。
第十壹話 被詛咒的神子
「古今和歌集·卷十三·戀歌三·在原業平·答詩」
かきくらす心の暗に 惑ひにき 夢うつつとは世人さだめよ
花期蕭蕭,心愁暗郁,謂幻實爾,人之命爾。
此心終夜暗,迷惑不知情,是夢還非夢,人間有定評。
第十二話 潛伏鬼的黑夜
「古今和歌集·卷十八·雜歌下·佚名·無題」
風の上にありかさだめぬ 塵の身は ゆくへも知らずなりぬべらなり
風起之處,身似浮塵,前路何往,知者無人。
此身漂泊處,渺若風吹塵,前路知何去,茫然不可循。
第十三話 解開心結
「古今和歌集·卷十七·雜歌上·佚名·無題」
かぎりなき君がためにと 折る花は 時しもわかぬものにぞありける
花開繁似海,為君壹壹采,盛放無絕期,春去復秋來。
祝君無量壽,因此折奇花,開出花無量,壹年四季誇。
第十四話 彩虹告知的未來
「古今和歌集·卷十三·戀歌三·佚名·無題」
よるべなみ身をこそ遠く へだてつれ 心は君が影となりにき
風雨飄零無所依,倚欄細把前塵憶,此身縱有千山隔,心總與君形影系。
欲寄無從寄,只身隔遠方,此心飛作影,日日在君旁。
第十五話 超越憎恨的心
「古今和歌集·卷十七·雜歌上·佚名·無題」
うれしきを何につつまむ 唐衣 袂ゆたかにたてと言はましを
如斯之悅,何物以覆之,錦匿甚多琪,不羈言泛泛。
包藏歡樂意,袖狹不能開,但願裁衣者,從寬為剪裁。
第十六話 贖罪之日
「古今和歌集·卷十六·哀傷歌·上野岑雄·崛河太政大臣去世於深草山葬後作」
深草の野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは墨染めに咲け
深草山含櫻,可否恤吾傷,但求汝今年,能以墨黛放。
深草野邊櫻,今年應有情,花開都黑色,喪服墨磨成。
第十七話 夾竹桃之女
「古今和歌集·卷三·夏歌·清原深養父·月明之夜拂曉時作」
夏の夜はまだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに月宿るらむ
夏宵意正濃,不覺曦已至,縱遁雲深處,月欲何處宿。
夏夜尚深夜,天明早已經,雲間何處隱,曉月已無形。
第十八話 四位侍從與茜姬
「古今和歌集·卷十四·戀歌四·紀友則·無題」
春霞たなびく山の 桜花 見れどもあかぬ君にもあるかな
春霞,氤氳山櫻盛,相看兩不厭,汝亦娉婷爛漫中。
閑適若春霞,山櫻開似玉,見花如見君,雖久不知足。
第十九話 無法停止的思念
「古今和歌集·卷十壹·戀歌壹·佚名·無題」
山高み下ゆく水の 下にのみ 流れて戀ひむ戀は死ぬとも
山高水流長,綿綿如斯夫,但能如是,縱情深徹骨暗藏。
流水高山出,壹心往下流,寸衷存戀意,也自永悠悠。
第二十話 她給予的光芒
「古今和歌集·卷十七·雜歌上·尼敬信·田村帝時慧子公主所主持之齋院因母有過失而見廢旋蒙赦中止乃感而詠此」
大空を照りゆく月し 清ければ 雲隠せども光けなくに
冷月蒼穹照,泠冽似水柔,浮雲層疊亦,難隱清輝舊。
天上懸明月,清輝照萬方,浮雲雖暫蔽,終不滅清光。
第二十壹話 鬼與人
「古今和歌集·卷十二·戀歌二·紀友則·寬平帝時後宮歌會時作」
宵の間もはかなく見ゆる夏蟲に 惑ひまされる戀もするかな
寂寥夏夜長長,媚惑螢火點點,渺渺茫茫莫非,夏蟲紛飛亂愛。
不見飛蛾事,徒然夜撲燈,此身迷惑甚,戀意枉加增。
第二十二話 想起鬼的時候
「古今和歌集·卷十八·雜歌下·凡河內躬恒·久不聞人消息見面時詠此示怨」
身を舍ててゆきやしにけむ思ふより 外なるものは心なりけり
身欲孤行,所念甚是,不由己不由己,只是當時惘然矣。
舍我遠行去,不知何處尋,不堪思議者,難得是真心。
第二十三話 晨曦
「古今和歌集·卷十壹·戀歌壹·佚名·無題」
戀せじとみたらし川にせしみそぎ 神はうけずぞなりにけらしも
情愫千千應已了,道是祓禊川上,難斷還亂,縱神不欲我遂。
從今無所戀,禦手洗川來,川水將身滌,神靈允諾哉。
第二十四話 被放出的四神
「古今和歌集·卷十壹·戀歌壹·佚名·無題」
戀しきに命をかふるものならば 死にはやすくぞあるべかりける
夢縈此情魂牽,難忘不思量,倘若壹殆以易,天上人間。
莫道戀情苦,須知生命歡,百年誠可貴,壹死有何難。
第二十五話 撥雲見日
「古今和歌集·卷八·離別歌·白女·源實赴築紫行湯浴時於山崎惜別」
命だに心にかなふものならば なにか別れのかなしからまし
爛漫四時中,人去無不空留,壹個別字了得時,淒淒慘慘戚戚否。
萬事皆由命,此心總聽天,今朝離別後,慎莫動哀弦。
第二十六話 遙遠時空來到妳的身邊
「古今和歌集·卷十二·戀歌二·凡河內躬恒·無題」
我が戀はゆくへも知らずはてもなし あふをかぎりと思ふばかりぞ
我心之所戀,未知往何方,此途無窮盡,惟知逢時終。
我戀將何往,前途不可知,思君終不已,定有相逢時。