現代訳
わが庭に梅の花が散る。天涯の果てから雪が流れてくる。
2、うらうらに照れる春日に雲雀あがり情悲しも獨りしおもへば 大伴家持 (萬葉集)
現代訳
うららかな陽光の春の日に雲雀の聲も空高く舞い上がる。しかし私の心は悲しみで沈んでいる。壹人で物思いをしていると。
3、袖ひぢてむすびし水のこぼれるを春たつけふの風やとくらむ 紀貫之 (古今和歌集)
現代訳
夏の暑い日に袖を濡らして遊んだ水が冬の寒さで氷ってしまっていたが、立春の今日、春の風がその氷を解かしているだろうか。
4、夕されば野べの秋風身にしみてうづらなくなり深草の裏 藤原俊成 (千載集)
現代訳
夕方になると、野を吹きわたる秋風がしみじみと身にしみて(感じられるのであろう、そのわびしさの中で)
鶉が鳴いているように聞こえる、この(草の深く生い茂る)深草の裏で。
5、見渡せば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕暮 藤原定家 (新古今和歌集)
現代訳
漁師小屋のある海岸の景色を眺めると,そこには花も紅葉もないのに秋の夕暮れをしみじみと感じさせてくれる。心打つ景色には花も紅葉もいらないのだ。